愛と義のまち米沢エッセイコンテスト 金賞受賞作品一覧
第1回 金賞受賞作品  加藤智則さん(宮城県)
 今から50数年前、中学生になって最初の中間テスト、社会科の地理にはかなり自信があったが、校内に張り出された結果は小差で学年2位、とても悔しかった。その後もトップは常にN君で、自分は万年2位。学年末のテストでは絶対にトップを取りたいと必死だった。

 翌年2月、学年末テスト前にN君は風邪で学校を休んだ。今回はチャンスとひそかに喜んだところ、社会科の先生に「N君の自宅へ見舞いに行って、彼の欠席した授業分のノートを貸してやれ」との指示。憤懣やるかたなく、断腸の思いでノートを貸した。

 N君はライバルの私からノートが借りられるとは思っていなかったので、大感激してくれた。N君の喜ぶ姿を見ていると、今までのわだかまりは消え彼の病床で互いの勉強方法や先生の出題を予想した。

 その結果、N君を追い抜くことができなかったが、2人とも満点だった。先生から褒められると共に、このときからN君とは無二の親友となり、現在も友情が続いている。